押しかけ社員になります!

「西野」

「はい…」

「今夜泊まる」

「はい。…うぇ、え?」

なんです?

「朝、早く帰る。一度家に帰って、着替えて出社するから」

「はい。え?…でも」

どうして?

「…そんな不思議そうな顔をするな。…一緒に居たいんだ。迷惑か?」

え?どうしちゃったの?部長。

「迷惑だなんて、そんな。でも…」

嬉しいけど。今日は…。

「西野の事、しっかりしろなんて、言えた義理じゃないんだ。俺も落ち着かない。会社で顔を見る度、…困る。抱きしめたくなる衝動にかられる…」

…あ、部長。

「はぁ、何だかみっともないな。部長の癖に、この体たらくだ」

「部長…」

…あ。これはいい傾向なのよね?頭の中に私が居るって事だもの。

「読ませて貰った」

あ、そうだ。仕事中は忘れていた。恥ずかしい事…、山ほど書いてあったんだ。

「あー、いや、そのですね…」

改めて掘り起こして話されるのは…ちょっと…。

「随分と俺を、過剰に高評価したものだな。西野の目に、俺はそう見えているのか?」

どの部分の事だろう。仕事に対する向き合い方の事だろうか。
部長が厳しく接するのは、一人一人、今以上に成長して欲しいからしてる事だろう、とか?
信頼出来る人だから好きになった、とか?
出張のお土産に気配りしてくれて、女子社員は何気にそんな部長が好きな事、とか?
どう見えてるって…。物体として?
今更ですが、容姿の話?
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