押しかけ社員になります!

はぁ…、どうするかな…。しかし…。
今日に限らず、この先だって一緒に居る時間が楽しい事ばかりとは限らない。変な空気感でも、気を取り直して居ないといけない時もあるだろう。
気を遣って帰ったりしたら、この先逃げ癖がつくだろう、お互いに。

「西野、食べるか?」

コンビニで買って来たのはアイスクリームだ。
まさかこんな流れになるとは思わなかったから。溶けないモノにしておけば良かったな。食べられる雰囲気では無い事くらい解っている。

「冷凍室に…」「冷凍に」

あ、二人揃って呟いた。

……。

「…入れておきます。溶けてしまいますもんね。部長がお風呂から上がったら食べましょ?」

「西野…」

「ふぅ。…ごめんなさい。変に意固地になって…。好きなのに素直になれなくて。心配して大きな声を出した事も解っています。ごめんなさい。
部長はこんなにストレートに気持ちを伝えてくれているのに。私はドンドン天の邪鬼になるんです。どこかでもう部長に甘え始めているのだと思います。部長が好きだと言ってくれたから。
お風呂、溜めてあります。すぐ入れますよ。…剃刀とか、男性用のシャンプーとか買ってあります。使えるようなら使ってください。それから…、Tシャツも、…パンツも、…靴下も。実は買ってあります。…今日、コンビニに寄ったので。…今後の予備にと思って」

「西野…」

負けた…。はぁ、俺の完敗かも知れない。
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