押しかけ社員になります!

アイスクリームの袋も、パンツの入った袋も放り投げた。

「あっ!部長ー。アイスクリームが…」

「そんな物より西野だ」

抱きしめたくなるじゃないか。そうだろ?さあ、西野。抱きしめさせてくれ。
タイミングが悪かった。アイスクリームの袋を拾おうと、しゃがんだ西野に俺の腕は空振った。
ぁ…西野…。仕方ない、俺もしゃがんで西野の前に胡座をかいた。

「部長?」

「はぁ。俺は、最近は甘いのは足りてたんだ。だから、食後のアイスも必要無くなってたんだ。…西野。
こっちが甘いって知ってるからな。俺はアイスより何より、こっちがいい…」

熱く見つめられ、顔を包まれ、親指でなぞられた唇は部長の唇を待ちわびていた。唇が重なった。ゆっくり食みながら、囲うように腕を回された。不安定な口づけは啄むように続いた。
後ろから頭に手を当てがわれ、次第に深く探られるモノに変わった。
んー、もう…駄、目。膝を伸ばされ床に倒された。唇は耳に触れ、熱い息が微かにかかった。首筋を唇が這っていく。服の裾から手が…。あ。それは。

「…駄目……駄目です」

部長の腕をやんわり掴んだ。

「…だよなぁ。…はぁ駄目か?」

「…駄目です…だから…来ちゃ駄目なんです」

行く事にもなってたけど…。

「ゔ~。…ちょっとだけ。ちょっとだけ触ったら駄目か?」

「駄目です。…駄目に決まってます。…ちょっとじゃ済まなくなるでしょ?聞かないでください」

自分が苦しくなるって一番ご存知でしょ?

「ゔ~、ゔ~」

部長……。

「…はい。お風呂入ってください」

コンビニの袋に手を伸ばし、部長の手を取り、渡した。

「ふぅ…うん。……入ってくるか…」

手を取り合って身体を起こし、立ち上がった。
もう。…仕方ない。

「来週、一緒に入りましょ?」

「!!。本当か?!」

「…は、はい」

いきなり元気になった。…実行するかどうかは、私次第ですけど?ご機嫌取りじゃないですからね。…。
チュ。あ、…もう…。フフ。

「フフン。よ~し、風呂入って来る」

…悪い女だ、私…。
< 75 / 192 >

この作品をシェア

pagetop