押しかけ社員になります!

「西野~、出たぞ~」

フフフ。言いたくなったのかしら。出て来たら解るんだけど。何だか機嫌がいい。すっかり、サッパリスッキリした表情になっちゃってる。

「はい。私の方も出来てます。簡単な物でごめんなさい。大丈夫ですか?これ」

一応マッシュルームを指して聞いてみた。駄目ならお茶碗一杯分のご飯は冷凍した物がある。お茶漬けを作る事も可能だ。
…ん?何を考えているのかしら。葛藤してるのかな。

冷蔵庫からお水を取り出して渡した。

「西野…」

受け取りながら呼ばれた。

「はい?」

「隣に座ってくれ」

「は、い?」

正面にある椅子を持って来て隣に腰掛けた。何かしら?

「…あ~んて、してくれ」

「はい?」

聞き返したら可哀相かしら。

「そしたら食べる」

…どういう事?やっぱりマッシュルームは嫌いだけど、食ってやるから、そのくらいしろって事?

「やはり駄目でしたか?マッシュルーム…」

嫌いと判断しなかったから、普通に切ってある。ビジュアル的にダメって事かな。背もたれとの間に腕を入れ、腰に手を回された。

「…いや、大丈夫だ。食べさせて貰いたいだけだよ?」

え…食べさせてもらいたいなんてそんな。いきなり甘い事を。こっちが恥ずかしい…。

「西野は?食べたのか?」

「はい…。私、今日はコンビニのお弁当を一人寂しく」

「…そうか。少し食べないか?…ほら」

スプーンに盛られたピラフはもう口の前にあった。私に?

「はい、あ~んだ」

…。パク。

「フッ。俺も頂こう。…ん、…旨いな。…これって間接キスだな…」

ボッ。…何を今更。若僧じゃないって言ってたのに、してる事はとんだ若僧じゃないの…。
ずるいじゃない、こんな事…。
部長の唇…、意識してしまう、ドキドキさせないでください…。
< 77 / 192 >

この作品をシェア

pagetop