押しかけ社員になります!
「西野~、出たぞ~」
フフフ。言いたくなったのかしら。出て来たら解るんだけど。何だか機嫌がいい。すっかり、サッパリスッキリした表情になっちゃってる。
「はい。私の方も出来てます。簡単な物でごめんなさい。大丈夫ですか?これ」
一応マッシュルームを指して聞いてみた。駄目ならお茶碗一杯分のご飯は冷凍した物がある。お茶漬けを作る事も可能だ。
…ん?何を考えているのかしら。葛藤してるのかな。
冷蔵庫からお水を取り出して渡した。
「西野…」
受け取りながら呼ばれた。
「はい?」
「隣に座ってくれ」
「は、い?」
正面にある椅子を持って来て隣に腰掛けた。何かしら?
「…あ~んて、してくれ」
「はい?」
聞き返したら可哀相かしら。
「そしたら食べる」
…どういう事?やっぱりマッシュルームは嫌いだけど、食ってやるから、そのくらいしろって事?
「やはり駄目でしたか?マッシュルーム…」
嫌いと判断しなかったから、普通に切ってある。ビジュアル的にダメって事かな。背もたれとの間に腕を入れ、腰に手を回された。
「…いや、大丈夫だ。食べさせて貰いたいだけだよ?」
え…食べさせてもらいたいなんてそんな。いきなり甘い事を。こっちが恥ずかしい…。
「西野は?食べたのか?」
「はい…。私、今日はコンビニのお弁当を一人寂しく」
「…そうか。少し食べないか?…ほら」
スプーンに盛られたピラフはもう口の前にあった。私に?
「はい、あ~んだ」
…。パク。
「フッ。俺も頂こう。…ん、…旨いな。…これって間接キスだな…」
ボッ。…何を今更。若僧じゃないって言ってたのに、してる事はとんだ若僧じゃないの…。
ずるいじゃない、こんな事…。
部長の唇…、意識してしまう、ドキドキさせないでください…。