押しかけ社員になります!

「マッシュルームは大丈夫だ。問題無いよ。あー、松茸とか、しめじとかも大丈夫だ。とにかく椎茸だけだ、駄目なのは」

「そうですか、それは良かったです」

「フ。嫌いならどうした?」

「もし、どうしても無理なら、ご飯があるので、お茶漬けを作り直すつもりでした」

「嫌いなモノでも食べさせるんじゃなかったのか?」

「基本はそうです。…今日は何となくです。仕事で疲れてる上、ガチャガチャしましたから。
この上、ストレスになるような事、わざわざしなくても、と思いました」

「…そうか。絶対的な頑固って訳でも無いんだな。西野は普段譲らないからな、自分の気持ち」

それは恋愛に関してだけです。その他は一応空気読みますから。

「ん?」

「何でもないです」

「はい」

スプーンを渡された。

「え?」

「…俺、まだ食べさせて貰ってない…」

もう、困った人ね…解りました。

「はい…どうぞ?あ〜ん…」

…ん?…食べないの?

「俺、やっぱり、こっちがいいな…」

スプーンを持つ手は掴まれて、頭を後ろから押さえられ口づけられた。

ん、ふ…近くになんて座るもんじゃない。もう…、衝動は上手く収まったんじゃなかったの?

「んん…。西野のせいだぞ?可愛らしい表情をするからだ…」

そんな…。それは、元を正せば部長が仕掛けた事じゃないの。そんな…、自分に都合のいい事言われても。あ、食まれる…。

「……ずるいぞ、西野。…言い逃げするとは」

膝の上にずるずると座らされていた。

…言い逃げ?
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