押しかけ社員になります!
何とか収まったらしい。
放り投げられ、冷凍室でやっと固まったアイスを食べて、珈琲を飲んだ。一緒に歯磨きをして、後はいつでも寝られる状態にいた。
「部長?明日は土曜だから、朝慌ててなんて事は無くていいんですよね?明日、帰ります?」
「ん~。仕事帰りの格好だからな。何にせよ、帰らないとな」
あ、…そうだ。
「部長?あの…私、したい事があるんです」
「…したい事って、…西野。俺のために無理をしようとしてるんじゃないのか?俺は変わった事は、あまり好きじゃないんだ。最初はやっぱり、普通に俺が優しくだな…」
「…違います」
もう…。頭をそっちから離してくださいね。
「ん、何がだ」
「あのですね。帰り仕度の時だから、したく無いかもしれないんですけど…」
「…なんだ、やっぱりそうじゃないか。時間に追われてるのがいいのか、それで、何をするつもりだ」
…だから、落ち着いて私の話を最後まで聞いてください、ね?
「ネクタイを結ばせて欲しいんです」
「ネクタイ?…そうか、縛るのか…う~ん…」
…う~んて、何か想像して葛藤してます?普通に結びたいってだけの話なのに。もう…。このまま話を進めてみよう。
「はい。すぐ解いて貰って構いませんから」
「俺が自分で?どうやって解くんだ?
西野…それは無理だ。西野が解いてくれないと。…まさかずっと…放置…か?」
……それは…プレイの事でしょうか?
「いつもご自分で解いているでしょ?…もう、いいですか?私が言っているのは、帰りに結びたくは無いでしょうが、…部長のネクタイを私が結びたいと言っているのです。嫌ならすぐ解いて貰っていいですから」
「…なんだ。…そんな事か。構わないよ」
何だか少し残念がってます?気持ちを納得させ、固めていたところだったのかしら?…。それもどうかと…。
でも、やっと話は通じたみたいね。だけど…縛るとか、…放置とか…、聞き捨てならないワードが割とスッと部長の口から出て来たんですけど…。
んん。ま、そこはまたややこしくなりそうだから触れずに流そう。
「…素敵だから。私、…物凄いフェチかも知れません。部長のスーツ姿、凄く好きなんです。凄くビシッとスマートで、格好いいんです。ずっと見ていたいくらい好きなんです。上着を脱いでいるベストの時も好きなんです」
ゔ。言っちゃった。もう、目はハートになってるかも知れない。
「…いくらでも見てくれ。ネクタイを結びたいなら今も結んでみるか?
あー、スーツとセットがいいんだもんな。じゃあ、クールビズは西野的にはどうなんだ?」
「それは、それでですね。Yシャツのボタンを少し外されますよね。ここら辺の、チラッと白い肌の露出感が堪らなく色っぽいんです」
思わず部長の首の辺りに触れた。