押しかけ社員になります!
んー、普通だなぁ。
そう思って部長を見た。
「どうした…。何が気になる」
ヤバイです。これで何でも無いと言ったら、何でも無い訳ないと言われます。どうしようかな。
最早、できてしまったこの間がヤバイです。部長は鋭いから。
「いや、あの…」
「どうした」
ええい、言ってしまえ。
「部長…。お見合い、されたんですか?」
「…」
呆れてる。きっと呆れてる。西野、お前も噂を真に受けるのかって。
「…何故知っている」
え、…え?…本当だったの?え、…そんな…。
「何故と言うか、噂です。女子社員の」
ごめんなさい、部長の事だから、がせだとしても気になったのです。
「したにはしたが、形だけのモノだ。顔を立ててくれと言われて、会うだけ会っただけだ。それだけだ。心配無いぞ、西野」
ほぅ。
「はい」
部長の言葉を信じればいい。
「他には?まだ…あるんだろ?」
土曜の朝、急に帰った事は仕事かも知れないし。それなら詳細は言えないだろうし。
「土曜の事じゃないのか?帰るにしても早かったから。
お袋が具合が悪くなったんだ。叔母から土曜の夜中、金曜の夜だな、連絡が来た。大した事はないんだ。ただ独り身だからな。不安だったのだろう。
実家は遠方なんだ。だから、俺も休みを取って少し居たんだ。心配ないから」
そうだったのか。
「これで大丈夫か?」
ホッとした顔になったのだろう。本当、バレバレだ。
「お母様はもうよろしいのですか?」
「ああ、大丈夫だよ。有難う。言わなくて悪かった」
「いいえ。大丈夫でしたら良かったです」
「西野、母親の事にしろ見合いの事にしろ、今回は話さなかった俺も悪いんだが、不安な事は聞いて欲しい。俺も見てるつもりだが、西野の様子に全部気が付くかどうかは解らないからな」
「はい」
どんだけ子供なんだろう私。
「そう落ち込むな。何でも無い事だろうと、何一つ話さなかった俺も悪いんだ」
解ってます。男の人はペラペラ何でもかんでも喋りませんから。