押しかけ社員になります!

いやいや、率先して行ったりしませんから、無人島なんて。そんなシチュエーション、まず出くわさないだろう。多分一生。

「仮に二人で出張でもして、万が一飛行機が海に落ちたとして。たまたま、助かったのが私と加藤、なんてならない限り、無人島に漂流されるなんて起こり得ません」

「まあな、それでも…絶対無いとは言えないが。同期というのは妙に馴れ合うからな…」

部長、そんなに不安ですか?

「私は部長しか眼中に無いですから。私の意識の中には部長しかいませんから。私がどれだけ部長に執着しているかは、部長が良くご存知じゃないですか」

おふざけでレポートを提出していた訳では無いのですよ?情熱の塊なんですから。

「解ってるよ。解っているけど、好きだと思うと、何もかも不安要素にしか見えないんだ。ヤキモチだよ」

…いや~。ヤキモチだなんて…私ごときを思って?…幸せだ。部長の口からこんな言葉が出る日が来るなんて。もう、死んでもいい。いやいや、まだ死んじゃいけない。…まだ…シていないんだし。


「御馳走様。美味しかったよ」

「いえいえ。珈琲入れましょうか?」

「…ん、頼むかな」

「はい」

何とも言えない、微妙ないい距離感。馴れ馴れしくも無く、少し距離がありつつも、熱烈?…熱烈はやっぱり私か…。


「うわっ」

…まただ。部長~。全然気配がしなかった。…堪りませんよ?後ろから腕を回されると、デレデレしてしまいますって。これだけでもう腰が抜けてしまいそうなんですから。

「西野…。甘いモノをくれないか…」

あ、今日はアイスクリーム、買わなかったな、しまったぁ。

「部長、コンビニ行って来ます。すぐです。やっぱりアイスがいいですか?それとも何か好きなスイーツはありますか?」

「要らない…」

え?でも今甘いものって…。
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