押しかけ社員になります!
*経過措置
…予定は未定。あくまで予定だ。キャンセルも順延も付き物。何がなんでもって、がっついたりしない。それが大人というモノ。…部長は大人だ。
私は、眠れるかしら。もう一度、お風呂にちゃんと浸かって落ち着けよう。
後ろから抱きしめられた余韻は、私の高ぶったモノを中々鎮めてくれない。だって好きな人に抱きしめられたんだよ?…思い出しちゃう。
帰り際だって、コンビニでの事、走って帰ってしまった事、気にするなって慰めてくれるように包み込むように抱きしめてくれた。
ただ追い掛けていた時とはもう違う。あれこれと…触れられる事が増えて来た。それは当たり前で、嬉しい事で…、本当にこんな日が訪れるなんて…。夢のようだ。
願っていた事とは言え、…しかも、部長の口からは結婚という言葉まで出て…。
私、…考えてみたら、相手は部長だよ?
この先、きっともっと上の役職に就くような優秀な人だよ?
…今更ながら、いいのだろうかと思う。それこそ、部長をサポート出来る人は、部長がお見合いをされた相手の方のような人に違いない。戯れに好きなんじゃない、そこは最初から真剣に好き。…だけど私は、好きだと、思っていただけの方が良かったのではないだろうか。はぁ…想像力の欠如だ。
自分の思いに応えてくれたら嬉しいと思っていても、どこかで叶うはずなんてないと思っていたんだ。だから遠慮無くグイグイも行けた。
それが、思ってもいない事が訪れた。振り向いてくれた。それが部長という立場のある人と付き合う事。
きっと、こんな事、部長に言ったら叱られてしまう。呆れ返られてしまう。…初めから解っている事だって。
自惚れではない。きっと、俺個人を好きでいてくれたらいいんだと、言われるに違いない。
それでも、やっぱり、いいのだろうかと思ってしまう。しばらくは恋愛したい。やっと思いを受け入れて貰えたのだもの。…駄目かな。部長は結婚を急ぎたいのかな。
こだわる訳じゃない。どんな形で居ても、部長と一緒にいられるならそれでいいんだけれど…。
例えば、それが、恋人なのか、夫婦なのか、そんなのは気にならない。形で好きは変わらないと思う。だって、急に結婚したら好きは落ち着くかって言われたら、そうはならない。
…でも結婚という形が、気持ちを冷静にさせようとするかも知れない。
しばらくはお互いの部屋を行き来する、そんな生活でも構わないかも。