押しかけ社員になります!
「え?」
そんな…極端な、さすがにそれは。大それた事…。
「どうしても役職がついた俺が嫌なら、辞めてもいいと言ったんだ」
「そんな…そんな事、しては駄目です。それこそ私のような者の為に、そんな事を言ってはいけません。してはいけません。部長は部長のされて来た実績、努力、信頼や堅実さ、色々な物で部長なんです」
「はぁ…。もういい。…止めろ。西野。いいか。私のような者なんて言い方をするな。俺は、それ程、西野が大切だと言いたかったんだ。はったりなんかじゃない。
…西野。俺達はまだ結婚とかしている訳じゃない。でもな、例えばだ。
西野が俺と結婚して、俺が取締役になったとする。青柳取締役の奥さんだと、皆はそんな目で西野を見るだろう。だけどな、俺にとっては、西野は西野なんだ。
…そうか、その時は西野じゃないか…。俺の奥さんであってだな、取締役と結婚する訳じゃない。…上手く言えないな。俺個人の、俺の奥さんなんだ。だから、今と何一つ、変わる必要なんか無いんだ。
余所のお偉いさんはお偉いさんだ。俺達は俺達の暮らし方をすればいいんだ。そこは心配するな。人前に無理に連れ出したりしない。何も心配するな。
俺が守るから。妙な付き合いとかに参加する必要も全く無い」
…。
「例え話にしては、少し先走り過ぎたな…。でも、幻想ではない。そういう事だ。
俺だけを好きで居てくれる、今のままでいいから。何も問題無いといつも言っているだろ?まだ信じられないか?俺は、俺自身、覚悟の上で、好きだと西野に答えたつもりだ」