好きって言ったら信じてくれる?
「じゃあ、行く?日曜日、一緒に。」
「は?」
数秒の沈黙の後、出てきたのはこの一言だけ。
「『は?』って酷いよ、水野。」
先輩は不服そうに言うけれど正直、それどころではない。
そして、はっと気づく。
「あ、冗談ですよね。そっか、そうですよね。びっくりするじゃないですか。」
心臓に悪いですよ、と一人で完結させると、先輩は呆れた顔。
「なんで水野はいつも…。それは、まぁいいや。とにかく、冗談じゃないから。全く。理解しがたいんだけど、どうして冗談とか思えるわけ?」
「だって。先輩と二人でなんて…。それに、もう誰かと約束してるんじゃないですか?」
「いや、別に。一人で行こうかと思ってた。」
「え、一人で…。」
ぐらりと自分が揺らぐのが分かる。
私が黙りこむと、先輩は不思議そう。
「そんなに珍しくないと思うんだけど、一人で映画観るくらい。」
「そうですね…。」
気になってるのはそこじゃないんだけど。