好きって言ったら信じてくれる?
「よかった。お弁当食べるのは断られちゃったし。これも断られたらどうしようかと思った。」
「まだ、気にしてたんですかお弁当の件。」
「もちろん。」
先輩は即座に頷く。
ちょっと、申し訳ない気持ちになる。
「えっと、映画のことは詳しくはまたあとでメールする。さてと、資料作りだよね。タイトルはどうしようか。」
「とりあえず、用具係通信ですよね?」
仕事モードに切り替わった先輩に合わせてパソコンに向き直り、文字を打ち込んでいく。
返事がないことを不審に思って、先輩を振り返ると、こちらをじっと見ている。
「やっぱり、水野、仕事のときは生き生きしてる。」
何かと思えば、またその話。
お弁当のときといい、先輩は私が大の仕事好きとでも思っているのだろうか。
「先輩だって、仕事のときだけはちゃんとしてますよね。」
「だけ、に悪意を感じた、今。」
「そうですか?」
としれっと笑って見せる 。
「さっきの笑顔の方が素直で可愛かったのに。」
呟くような先輩の一言で仕事どころじゃなくなった。
さっきって、社会科室でいい返事したときの?
動揺する私の傍らで、「でもこれはこれで、ありか。」とかまだ先輩はブツブツ言っている。
ほんと、もう。
「それで、次は何て書きますか?」
振りきるように話題を戻してパソコンに向かう。
今日の仕事は長引きそうだ。