好きって言ったら信じてくれる?
服はあのワンピースだとか、髪は下ろす?いや、ハーフアップがいいんじゃないかとか。あーだこーだ言いながら着ていく服を相談する。
あらかた決めたところで莉央が言った。
「うん、あとは先輩を落とすだけだね!」
「そうだね。」
莉央の相変わらずの身も蓋もない言い方に苦笑しつつも肯定する。
「珍しいね。さらっと流すか否定するかと思った。」
そう思いながらも言うのか、と脱力する。
「莉央が言ったんじゃん。“欲しいものは取りに行かないと”って。」
先輩が何考えているのか分からないし、不安だらけ。
だけどせめて自分の気持ちにくらいは正直になってもいいかもしれない、なんて。
「亜紀、成長したね。」
「なんか莉央に言われるとムカツク。」
「えぇー、ひどーい。」
顔を見合わせて、二人で笑う。
チャイムが鳴って席を立つと、去り際に莉央が言った。
「あぁ、それと何度も言ってるけど、私としては先輩は亜紀のこと好きだと思うよ。」
「そんなわけない。」
「何でそう思うの?告っちゃえばいいのに。そろそろ可哀想だし。」
『可哀想って何?』
そう聞きたかったけれど、本鈴が鳴ってあわてて席に戻った。
“「告っちゃえば。」ねぇ。”
それができたら苦労してないんだけど。
そう思いながらもそのことばを忘れることはできなかった。