好きって言ったら信じてくれる?
といっても、繋がれた手はすぐに改札を通るために離された。
改札を出たあとも、そのまま何事もなかったように歩きだす先輩。
行き場の無くなった手が何だか寂しい。
先輩にとっては、“手を繋ぐ”って認識じゃあなかったのかと思うと、自分の自意識過剰さに嫌になる。
先輩は、やっぱり何をしてもスマートで、手を差し出すその動作にもトキメイた。
自分が特別なのだと勘違いしそうになるんだ。
ホームで電車を待ちながら、今さら1つ気になったことを訊く。
「何駅に行くんですか?」
先輩からのメールでは集合場所だけしか言ってなかったはず。
「あぁ。それ、相談しようと思ってたのに忘れてた。」
ちょっと遠いけどと前置きして、先輩が口にしたのは確かにちょっと遠いけど大きなショッピングモールがある駅。
「平気?」
と伺うように訊かれて、私は頷く。
「今日の予定は、先輩にお任せします。」
先輩は、ふっと笑って「了解。」と言う。
それだけで、ドキドキするのはさすがに重症?