好きって言ったら信じてくれる?
結局、ポップコーンは買わず、飲み物だけもって席に向かう。
今度は、買われる前に自分で買った。
チケット代はあくまで出させなかったくせに自分で飲み物を買うのはいいんだ。
男心はと言うよりは、先輩の基準がよくわからない。
隣に座ると、画面では既に広告が流れてる。
でも、私は隣の先輩が気になって正直、眺めるどころじゃない。
チラチラと先輩を盗み見ていたら、しっかりと目が合ってしまった。
「どうかした?」と言うように、先輩がこちらに向け直って私を見る。
思いの外に近い距離が意識されて、尚更恥ずかしくなる。
何か答えようと思うのに、焦って言葉が出てこない。
黙ったままの私に、先輩は「あ、もしかして。」と何だかイタズラな顔。
「違います!」
先輩の言葉に重ねるように言った。
すると、先輩はぽかんとした顔。
「え?水野も今の広告の“こぶた”が可愛いって思ったのかと思ったんだけど。」
その言葉に私は脱力。
「違った?というか、そんな全力で否定ですかしなくてもいいじゃん。」
「いや、あの、合ってます。こぶたが可愛すぎて。」
先輩のことが気になってチラチラ見てただけです。
そんなこと言えるわけがない。
「だよね。今の可愛すぎる。」
少し、先輩のテンションが上がってて可愛いものが好きなんだな、ってちょっと可笑しくなる。