好きって言ったら信じてくれる?
お昼は無難にイタリアン。
先輩と向き合って座って、改めて何だか緊張する。
仕事をしながら一緒にお弁当を食べることはあっても、こうしてお店で向き合って二人で食べるのは初めて。
料理を待ちながら、見たばっかりの映画の話をぽつぽつとする。
「結構、面白かったね。期待を裏切らない感じで。」
「世界観がよくでてますよね。思わず魅いっちゃうような。」
「分かる。世界に入り込める感じね。」
「俳優さんもかっこよかったし。主人公、めっちゃ美人ですよね。」
「…。」
急に先輩が黙り混む。
「どうかしました?」
不審に思って先輩の表情を窺うけれど、伏し目がちで何を考えてるのか読み取れない。
「…あの俳優、好きなの?」
目を伏せたまま先輩が私に尋ねる。
「いえ、特に?」
質問の意味が分からないままそう答えた。
「ふーん。」
何だか気圧の低い声。
怒ってる?
「え、なんですか?」
「意外だっただけ。水野、芸能人とか興味ないのかと思ってたから。」
「あー、まぁ確かにそんなに知らないですけど。でも、格好いいものは格好いいじゃないですか。」
「そーだね。」
やっぱり、感情を感じられない声。