好きって言ったら信じてくれる?
「なんでもなくは、ないでしょ。」
先輩は苦笑してる。
「ねぇ、水野。僕のことはどうしても、先輩としか思ってくれないの?」
その言葉に耳を疑った。
どうして、今。先輩、なんて。
「好きだよ、水野。気づいてたでしょ?」
「水野?」
なにも答えない私を不審に思ったのか、先輩が柵から降りて私の顔を覗きこむ。
咄嗟に顔を背ける。
「顔、真っ赤。」
でも、しっかりと見られてしまったようでますます顔が熱を持つ。
「何で?」
それは、こっちが聞きたいのだけれど。
なんと答えたらいいのかわからなくて。
“好きだよ”
その言葉ばかりが何度も流れて頭の中はパニック状態。
「先輩じゃないですか。」
ようやく出てきた言葉を必死で紡ぐ。
「私を後輩としか思ってないのは先輩じゃないですか。私、ずっと先輩のこと好きだったのに。」
「え、まっちょっと待って。だって、あれだけ水野にアプローチしてたのに。」
「アプローチってからかってるのかと。」
「何でそんなこと。ってもういい。そんなことより、」
まっすぐな瞳で見つめられて目が離せなくなる。
「僕と付き合ってよ。水野。」
考える前に頷いていた。
「…はい。」