好きって言ったら信じてくれる?
家が見えてきて、先輩の袖を引く。
「もう、大丈夫です。家、そこなんで。」
先輩は頷く。
「今日は楽しかった。ありがとう。」
「私こそ、楽しかったです。」
先輩の目を見て言うと、先輩はちょっと困った顔。
何で、と思う前に私は先輩の腕の中にいた。
「ほんとは、キスしたいところだけど。」独り言のようにそう言うと、私を軽く抱き締める。
「おやすみ、亜紀。また明日。」
耳元で囁いて私を離すと、にっこり笑う。
そのまま、軽く手を振ると先輩は歩いていく。
残された私は、混乱したままま「また、明日。」と呟いてその背中を見送った。自分の頬の熱を感じながら。