好きって言ったら信じてくれる?
「あれ、なんか浮かない顔だね。何かあったの?」
莉央は荷物を置き、席に座った私の顔をのぞきこむ。
「まじか…、分かるほど?」
この友人の観察力には度々驚かされる。
「うん、なんか疲れた顔だよ?まるで、自分の信じていた人が実は指名手配犯で騙されて、いいように使われていたことがわかったみたいな。」
…ただ、ちょっと思考回路が不思議なところがある。
「ちょっと、ストップ。絶対、例えがおかしいからね? 私は…。」
ちょっと迷って言葉を探す。
「今、ちょっと寝不足なの。」
なかなか寝れなかったのは、おもに昨日の出来事のせい。
「ふーん、寝不足ねぇ。」
疑ってることが露骨に分かる声。
莉央は、にやりと笑う 。
「その原因はズバリ、立花先輩でしょう!」
もったい付けた動きでビシッと指差されて私は苦笑しながら頷く。
「やっぱり、分かっちゃうか。」
勘の鋭いこの友人には、誤魔化せないとは思ってた。
「私が何年、君の友達をやってると思ってるんだ。」
「まだ、半年しか経ってないかな。」
莉央は高校で初めてできた友達だ。
でも、ときどき本当にずっと前から知り合いだったように感じる。
性格とか見た目もは全然違うのだけれど。