好きって言ったら信じてくれる?
予鈴と本鈴だとチャイムの音が違うのだ。
予鈴がなったのは気づかなかったけど。
「まじか、私まだ授業の用意してなーい!」
悲鳴をあげながら、ロッカーに走る莉央を座ったまま見送る。
勿論、私の机の上には次の授業の教科書が積み上がっている。
慌ただしい足音を聞きながら頬杖をつく。
先生はまだ来ない。
莉央、間に合うかな。
とりとめのない思考が最後に行き着くのはいつも先輩のこと。
戸惑いの中に、ちょっとだけ淡い期待が浮かんでくる。
また、からかわれてる。そう分かっているのに 。今回の出来事が災難だとか嫌だとか思えない自分がいた。