レモンとソーダと甘味料



次の日ヒロタはまた家を出て行った。帽子を被っていた。また長く留守にするのだろうか。私はリボンを解いてくれるよう頼んだ。ヒロタじゃないその人に。ヒロタじゃないその人は私の首のリボンを鋏でちょんぎると私を連れて家を出た。青いやねの家が見えて来た頃に横を強い速さで車が通り過ぎて行った。しばらくしてからヒロタの声が聞こえた気がした。私はヒロタじゃない人に抱き抱えられてヒロタの元から去った。ようやくヒロタと過ごしたあの家を出たのだ。雨が降ってきたらしい。びしょびしょに濡れた。




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