レモンとソーダと甘味料

「ユキ!」

ヒロタの声だ。
私は目を覚ます。
ヒロタの顔だ。
ヒロタは丸い目をぐらぐら揺らして私を見ていた。
ヒロタの可愛い顔がぐしゃりと歪んで可愛くない。

ヒロタ。ヒロタ。ヒロタ。
ああ、そうだ、私は死んだのだ。だからヒロタと会えているのだ。ヒロタの声が聞けているのだ。ヒロタの顔を見れているのだ。死ぬのも悪くないみたいだ。ねえ、ヒロタ




「どうして勝手にいなくなったりしたの?」
「ごめんなさい。悪い人に頼んでしまったの」
「僕のことが嫌いになったの?」
「嫌いかもしれないと思ったけど嫌いではなかったみたい」
「ユキは僕のこと好き?」
「それはよくわからないよ、ヒロタ」
「僕はユキのことが好きだよ」
「ヒロタ、さっきからいつもと様子が違うわ」
「ユキはおかしい」
「ヒロタはおかしい」
「ユキは僕と一緒じゃなきゃ生きれないのに」
「ヒロタは私がいないと死んじゃうのにね」
「ごめんね、あのことを怒っているんだね」
「私 悪い人と悪いことをたくさんしてしまったの」
「もう二度とユキから離れない」
「ヒロタにもういちどあえてよかった」
「ユキ」
「ヒロタのこと、きらいじゃなかったのよ」
「ヒロタのこと、すきだったのかもしれないのよ」
「ヒロタ、ヒロタ、ヒロタ、 ばいばい」







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