レモンとソーダと甘味料



少女は男に、特別に手帳を広げて見せてやった。
丁寧に記された丸がいくつも並んでいた。
丸はふたつ並んでいる日もあれば ひとつだけの日もあったし ひとつもない日もあった。

「私は貴男に道を聞かれた日から、貴男に声をかけられた日は必ず丸をつけているんですの。
 貴男に声をかけられたぶんだけの丸がここには並んでいることになりますわ」

男はにっこりと満足そうに微笑んだ。

「それは可笑しい。
 僕はこの日、確かに君に声をかけました」

丸がついていない日を指差して、男は言った。

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