レモンとソーダと甘味料
男は、高そうな少女を見つけた。
白い肌。小さな顔。長い睫毛。絹のワンピースを纏う華奢な体。
としは自分と7つほど離れているだろうか。
幼く見える顔つきに似合わず、しゃんと伸びた背筋からその高さが窺えた。
男は少女に声をかけた。少女はそれに答えた。男はその日から少女に声をかけ続けた。
2か月後、静かに続いていたふたりの奇妙な関係は 知り合いという形に静かに変わった。
知り合いになったあの日の少女はとても不機嫌そうだった。
けれど、男は見ていた。少女がひっそりと微笑んだのを。少女は自分では気づいていない。
なにせ、彼女は高いのだ。
男に簡単に笑顔をくれはしないのだ。2か月かけて男がもらった笑顔はたったのふたつ。
やはり、少女は高かった。