レモンとソーダと甘味料
昨日、ヒロタが買った着るものはいつもと違った。
やけに軽くて着ている気がしない。裾もスースーする。
ヒロタは枝毛を見つけたときと同じ顔をして私の姿を見た。
私は着るものにはこだわらないから大人しくそれを着た。
ヒロタはその日、なにも喋らなかった。二日に一度くらいあることだ。
ヒロタはその日ずっと枝毛を探していた。
私はじっとしていた。
しばらくして窓の外が明るくなって明日になったのがわかった。
明日は今日になって今日は昨日になったということだ。つまりは昨日は一昨日になったってことだ。
ヒロタと私はひとつのベッドの中でひとつの毛布に被さった。
私は寝れなかった。ヒロタは眠ったのだろうか。ヒロタは何も言わなかったけれどその代わり、私の手を握ってきた。初めてのことだった。ヒロタになにかあったのかもしれない。
いいきみだ。
私は強くヒロタの手を握り返してやった。