愛を有する者
あゆちゃんもきっとこれから大事にしていくんだろうなと思う。

でも、あゆちゃんが今、あの手鏡を持っているのを見ると少し、胸が痛む。

前、愛架さんとあゆちゃんの家に行った時にこんな会話を聞いた。

「お母さん!
その、手に持ってる綺麗なの、あゆに頂戴!」

「この手鏡のこと?」

「うん!」

「これはね、初めて信長様と会った時に選んでくださった鏡なんだ〜。」

「お父様と?」

「うん!その日いつもの小物が置いてある店に行ったらね、すごく背の高い人がいたの。」

あゆちゃんはうんうんと首を縦にふっていた。

「その人がね、信長様だったの。
私、一目惚れしちゃって自分から話かけてみたの。」

『はじめまして!愛架と言います!』

「とにかく、私の名前を知って欲しかったんだろうね。その人はびっくりしてたけど、丁寧に自己紹介してくれたの。」

『こちらこそはじめまして。織田信長という者だ。』



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