つながる
山を下ること1時間くらい。
「稜之助、お前気をつけろよ。
侍の刀に触るな。侍に盾突くな。侍に話しかけるな。
侍に笑いかけるな。足見せるな。いいな?」
これをもう20回くらい聞かせられている。
「しっつこい。触らん、盾突かない、そもそも
近づかんわ!こんな足誰が見るかぁ!」
ぜーぜーしながら叫ぶとコダマが返ってくる。
じっとーっと、効果音が聞こえそうなくらい
みてくる幸太郎。
「あんだよ、こーちゃん。
俺は子どもじゃないかんな。」
プンスカ怒りながら幸太郎の前を歩く。
「頼むから、無事でいてくれよ」
幸太郎がそんなことを呟いていることも知らずに。
「こーちゃん。置いてくよ。」
「一人じゃ迷子になるぞ。」
そう、まだ街へ行くのは3回目。
3回とも前を歩いて道を間違えかけて
こーちゃんに怒られた。