つながる

確かに、部活をしていた。
『いつもどおり』に。


ただただきつい稽古。
剣道を始めてもう11年目になる。
段々と疲れで上がらなくなる腕。
軽いはずの竹刀がだんだんと重くなる。
子泣き爺が乗っているんじゃないかと思うほどに。
そんなことを考える余裕がある今日は
まだましな日。

こんな意識をほかのことへ向けられるんだから。

「休憩!・・・20分まで!」

そう号令が飛ぶ。

暑苦しい袴を今すぐ脱ぎ捨てて
ハーフパンツで稽古したい。
エアコンを面の中に付けてほしい。

そんな馬鹿げたことを考える。

道場の外へ風に当たりに出た。


外に出れば清々しいほど晴れ渡る空に
砂埃をまわせる程の風。

袴に風が入り気持ちがいい。
汗が脚を伝い落ちていく感覚が
気持ち悪い。

なぜここにいるんだろうか。
暇さえあれば自分の存在するイミを問う
自分がいる。
ーーー突風が青々しい葉を吹き上げ
さわさわと耳を震わせて
目を閉じる。

誰も答えてくれないのは当たり前のこと。
分かっている。意味なんか別にどうでもいいと。

だからこそ、

誰かに言って欲しかった。




< 3 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop