つながる
幸太郎の準備した荷物の
3分の1程を背負い市場へ歩みを進める。
腰の刀が重く感じる。
小屋を立つ前、
幸太郎が手にした長細い箱。
布で巻かれていた。
幸太郎が何も言わず押し付けた箱に
太刀が入っていた。
幸太郎の過去は知らない。
けれど、物がいい事はわかる。
幸太郎が使っていたものかどうか分からないが
大切にされていたものだとわかる。
「お前は、自分を見失うな。
人を憎む時、一度は許す心をもて。
自らを愛でられる人間は、
自らを壊すものより強い。
忘れるな
お前の持つものは誰のためか。」
初めて幸太郎の本当の姿を垣間見た
きがした。
それほど人を傷つけるものを
持つということは、重い鎖に絡められるということか。