ちょんすけの冒険
キツネは臭いを嗅ぎつけて、木の方までやってきました。そして、木をジーと見つめています。
ちょんすけは、絶対絶命の大ピンチでした。ちょんすけは、もっと奥の方へ移動し、体を震わせ、
冷や汗をかき、どうか見つかりませんように、とお祈りするばかりでした。

すると、何か向こうの方からドドドッと大きい音がして、まるで地響きのようでした。キツネもちょんすけも何事かと見ると、草の茂みをかき分けて、大きい猪がやってきていました。
猪は目をランランと輝かせて、キツネを見ていました。キツネはびっくりして飛び上がり、一目散に駆けて行きました。
猪もキツネが逃げて行った方へ、追いかけていきました。しばらく経ってから、ようやくちょんすけは、木の根元から出てきました。
「何とか助かった…。」と思いながら、一目散にその場から逃げ出しました。
それからの道のりは、特に危険な目に遭うことがなく、進むことができました。
(それでももちろん、周囲への警戒を怠ることはありませんでした。)
そして、3日目ようやく、さく太郎のお家に着くことができました。
さく太郎のお家も、木の根っこのところにあり、周りに大小のキノコが生えています。
そして、ドアをノックすると、さく太郎が出迎えてくれました。


さく太郎の家は、きれいに整頓されていて、整然としていました。
さく太郎は、いつもニコニコなネズミで、目じりが下がって、垂目でした。
どうやらちょんすけをもてなすために、クッキーを焼いていた途中だったようです。
エプロンを付けたままで、オーブンからはいい匂いがしています。
流しにはぼーるや泡だて器などが置かれていました。
「ちょっと待ってね。もうすぐしたらできるからね。」そう言うと、ダイニングルームのイスに、ちょんすけを座らせ、食器棚からポットとティーカップを取り出し、お茶の用意をしだしました。
ちょんすけは、イスに座り、背負っていたリュックサックを下ろし、ホーっと一息つきました。
さく太郎は、たんぽぽ茶を作ってくれました。たんぽぽ茶とは、たんぽぽを乾燥させて粉にしたもので、色は濃い茶色で、珈琲に似ています。ちょんすけは、その濃いたんぽぽ茶を飲んで、長く大変だった旅の疲れを癒しました。それからしばらくすると、クッキーが焼きあがったようです。
さく太郎がオーブンから出すと、甘い香りが辺りを漂ってきました。それをお皿に盛り、テーブルへと運んできてくれました。
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