振り向いたらあなたが～マクレーン家の結婚～

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春の嵐が吹きさぶっている頃、マクレーン家の邸宅の居間には、五人の姉妹たちが集まっておしゃべりに励んでいました。長女マリアンヌは、一番の年配者らしく、皆の話をにっこりと聞いています。

次女のリリーと三女のメアリーは、ひっきりなしに明日の舞踏会のことを話しています。出席できない四女のケイトと5女のポリアンヌは、うらめしそうに二人の話を聞いていました。
「明日は、ついに今年一番の舞踏会、我が国王室のジョージ王子のお誕生日会よ。我が家も招待されてよかったわ。招待されなかったら、どうしようかと思ってた。学校で、シェリーに何て言われるか。でもよかったわ。」トリリーが言いました。
三女のメアリーも、「本当によかったわ。でも、我が家も一応、イギリスの古くからの名家ですもの。ああ、一体どんなに華やかになることやら・・・・。すごーく楽しみだわ。ねえ、お姉さま。」「ええ、楽しみだわ。ねえ、あなたたち、明日は何を着ていく？あっでも、未婚の淑女は、白って決まっているのよね。でもそうだとすると、一番きれいなのは、あの下がフワーとなったのがいいと思うわ。」とマリアンヌが言いました。
リリーは、「残念だわ。白しか着られないなんて。もっと明るい色が着たいのに。私には、青が似合うのに。白なんて、私のキャラじゃないわよ。」「うふふ、確かにリリーは白って感じじゃないわよね。」と五女のポリアンヌが言いました。
「どういう意味よ、それー。」とリリーが怒った顔をしながら、言いました。
こうして、五人の姉妹たちが遅くまで、明日の舞踏会に向けて、話を弾ませていました。


寝る時間になったので、五人の姉妹たちはそれぞれ、寝室に移りました。
長女マリアンヌも、眠い目をこすりながら、寝室に入っていきました。
マリアンヌの部屋は、姉妹で唯一の一人部屋です。他は、次女のリリーと、三女のメアリー、四女のケイトと五女のポリアンヌが二人部屋になっていました。
マリアンヌは、もう二十五歳なので、父が一人部屋にするように手配してくれました。そう、マリアンヌは、もう二十五歳なのです。結婚適齢期はもうとっくに過ぎていました。マリアンヌは、あまり気にしないようにしていましたが、こんなに遅くなるとは思ってもいませんでした。
小さい頃は、いつかあっという間にするのだろう、と思っていましたが、こんなにも結婚に恵まれないようになるとは思ってもいませんでした。マリアンヌの容姿は。特に悪いわけではなく、むしろ良すぎるくらいで、昔から多くの殿方に愛されてきました。
実際、何人かといい感じのところまで行ったのですが、マクレーン家は、不作続きで、小作料があまり取れず、また父は学者肌のため、あまり領主経営が得意ではありませんでした。
おまけに先祖代々受け継いだこのマクレーン家の邸宅は、あちこちボロボロで、その修繕費に莫大なお金がかかっていました。加
えて、男子が一人も生まれなかったために、跡継ぎがいず、マクレーン家のサウストン男爵という爵位は、次代にはまたいとこの家に移ることが決まっていました。
そのため、社交界からは、あまり大切にされなくなっていました。そして、この五人の姉妹がいるという事実が、お金がないことに加え、持参金をほとんど用意できないという事実から、多くの家から求婚されないことになっていました。
マリアンヌは、悩んでいました。持参金を用意できないとなると、どうすればいいのかしら。
このまま家族のお荷物には、なりたくはないし、オールドミスになって、誰かのコンパニオンや、家庭教師になるしか方法はないのかしら。かと言って。
愛のない結婚をして、年の離れたおじいさんと結婚するのも嫌だし。
ああ、どうすればいいの。神様、どうか私を助けてください。一生のおねがいです。私を愛する男性と結婚させてください。」マリアンヌは、寝室で、膝まづきながら、神に祈りをささげてから、眠りにつきました。