振り向いたらあなたが~マクレーン家の結婚~
「ああ、ミスター・コスナー。びっくりしたわ。とてもびっくりした。まさかあなたがそんな事を言うなんて。私たちは終わっていたと思っていたから。ミスター・コスナー。そう言ってくれて嬉しいわ。本当よ。でも本気なの?あんなに嫌がっていたじゃない。すぐに気の変わる気まぐれなら嫌だわ。」
「ミス・マクレーン。違うよ。本気だ。君が信じられないのもわかる。あんな風に君を傷つけたものね。でも君と結婚したいと思っている。と言うよりも、一生共に生きていきたいと思っている。君と別れるなんて耐えられない。毎日君と過ごしたい。同じ空間にいたい。死が二人を別つまで。そのためなら君と結婚したい。君と出会って、これが結婚したいという事なのだと分かった。」
マリアンヌはコスナー氏が本気で言っているのだと分かった。そう思うと、涙があふれてきた。マリアンヌはコスナー氏の手を握りながら、「ええ。」と言った。
「ええ。結婚します。ミスター・コスナー。私もあなたと結婚したいわ。心から。」マリアンヌがそう言うと、コスナー氏の顔はそれまでの苦しい表情から打って変わり、パッと明るく輝き、マリアンヌを抱きしめた。「ああ、ミス・マクレーン。大好きだ。」そう言うと、マリアンヌの髪に口づけた。

翌朝、マリアンヌとケヴィンは父に結婚することになったと報告をした。どうやら昨晩、コスナー氏は父にこれから結婚の申し込みをする許可をしていたようだったから、この報告を聞いても何も驚かなかった。
「それは良かった。良かった。」と言って、すぐに本の世界に戻ってしまった。
それから談話室に集まっていた姉妹たちに伝えると、妹たちは奇声を上げて騒ぎ出した。
「キャー。」何せ、女性が4人もいるので、騒ぐとすごいことになった。
皆大喜びだった。持っていたクッションを投げたりした。
ケイトとポリアンヌは、マリアンヌの所へ来て、「マリーお姉さま、嬉しいわ。マリーお姉さまが幸せになってくれて。」と言った。
「これで一家で初めての嫁ぐ人の誕生ね。おめでとう、マリー。」いつも気の強いリリーが珍しく涙ぐんでいた。
「お姉さまが結婚するとは思わなかったわ。てっきりもうするつもりがないのだと。ああ、良かった。」そう言うと、マリアンヌに抱きついてきた。
三女のメアリーは、コスナー氏に「あなたが最初に現れた時から、何となくこうなることはわかっていたわ。マリーお姉さまの事を大切にしてください。マリーお姉さま程、いいお姉さまはいないから。」告げた。コスナー氏は重々しい顔で、メアリーの方を見、「必ず大切にする。」と誓った。

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