その背中、抱きしめて 【上】



-------え…?










さくらちゃんと羽柴君は廊下の窓に背中を付けて話してる。





上の階…



見上げても窓が閉まってて、人影も見えない。





下の階も誰もいない。










私…



私だ。






もう一度彼を見下ろすと、まだ彼は私を見てた。



なんで?





何秒くらいだろう、視線を合わせてたのは。

ほどなく彼が視線を逸らして歩き出した。






何?何だったの今のは。

私がガン見してたから?

殺気でも感じたのかな…たしかに食い入るように見ちゃったからな。




でも間違いない。

やっぱりあの彼だ。

名前も思い出せないけど、あの頃より背も伸びてそうだけど、あの頃よりも大人っぽい顔立ちになってるけど。




間違いなくあの時の彼だ。


< 10 / 503 >

この作品をシェア

pagetop