その背中、抱きしめて 【上】
-------え…?
さくらちゃんと羽柴君は廊下の窓に背中を付けて話してる。
上の階…
見上げても窓が閉まってて、人影も見えない。
下の階も誰もいない。
私…
私だ。
もう一度彼を見下ろすと、まだ彼は私を見てた。
なんで?
何秒くらいだろう、視線を合わせてたのは。
ほどなく彼が視線を逸らして歩き出した。
何?何だったの今のは。
私がガン見してたから?
殺気でも感じたのかな…たしかに食い入るように見ちゃったからな。
でも間違いない。
やっぱりあの彼だ。
名前も思い出せないけど、あの頃より背も伸びてそうだけど、あの頃よりも大人っぽい顔立ちになってるけど。
間違いなくあの時の彼だ。