その背中、抱きしめて 【上】
上がる熱
どんな服を着て行こうか迷いに迷って、ワンピにした。
淡い花柄で膝上15センチ丈。
これにグラディエーターサンダルを合わせて甘くなりすぎないようにハズす。
バッグは動きやすいように小さめの斜め掛け。
胸まである髪はサイドにハーフアップ。
これで大丈夫かな?
おかしくない?
「おっ、可愛い可愛い。いいじゃん」
大学生のお姉ちゃんが部屋に入ってくる。
「男っ気まったくなかった柚香についに彼氏がねぇ。イケメンなんでしょ?今度家に連れて来なよ」
「面白がらないでよぉ」
お姉ちゃんはイケメンが大好物。
高遠くんがかなり気になるらしい。
「駅に9時でしょ?そろそろ行かないと遅れるよ」
「あー!ヤバい!行ってきます!!」
バタバタ階段を駆け下りて玄関を飛び出す。
「お母さん、柚香もついに…。イケメンらしいし、なかなかやるねあの子」
「本当にそんなイケメンが柚香の彼氏なのかしらね。遊ばれてなきゃいいけど」