その背中、抱きしめて 【上】
高遠くんの笑いが収まったころ
「先輩、後で覚悟しときなよ」
目ヂカラ抜群の二重の瞳が若干怒りを含んで揺れる。
あらら…怒らせちゃった?
ヤバイ。。。
「お待たせいたしましたー」
ご飯が運ばれてきた。
「うあー、いいにおい。いただきまーす」
食べるの幸せ!!
パスタをフォークに巻き付けて口に運ぶ。
「んんんんー!おいしー」
幸せだぁ。
目の前には極上の美男子。
そしておいしいパスタ。
そしてその極上男子が私を見てる。
…って、あれ?
「高遠くん食べないの?冷めちゃうよ?」
「動物見て目が輝いたり、メシ食っておいしいって喜んだり、感情豊かな先輩見てるの好きなんです」
子供並みの感情表現ってことだよね。
お恥ずかしい…。
ハンバーグを1口サイズにきナイフで切った高遠くんがフォークで刺したハンバーグを私の方に向ける。
「はい、柚香。パパのハンバーグあげる」
「あーん。…うはっ、おいし」
恥ずかしい。
恥ずかしいけど嬉しい。
付き合うって、こんなに楽しいんだ。
こんなに嬉しいんだ。
こんなに幸せなんだ。