その背中、抱きしめて 【上】
高地ゾーンには、ウシ科のヤクやゾッキョ、ヤギやシカがいて。
でも中でも私はワシ、鷹、コンドルに目が行った。
なんとなく高遠くんっぽかったから。
群れじゃなくて、孤独で、でも強い。
眼光が鋭くて、大きな羽根を広げて大空へ舞い上がる。
高遠くんのジャンプは本当に羽が生えてるように見えるんだ。
そして、寒帯ゾーン。
ここには…私がホワイトタイガーと同じくらい大好きな…
「し、シロクマさん…!!!」
静かに悶える。
可愛い…可愛すぎる!!
「何、悶えてんの。シロクマ好きなんですか?」
「好きっ。大好きっ。あのモフモフの体にバフッて抱きつきたい」
たまらずに高遠くんに抱きついた。
「先輩、積極的だね。…俺は嬉しいけど」
…恥ずかしいけど、これが色々都合がいい。
その1。シロクマに抱きつきたい衝動を抑える
その2。動物に悶える私を見て、機嫌が悪くなる高遠くんを抑える
その3。とりあえず高遠くんにくっつきたい
その全てをまかなえる、この抱きつき攻撃はかなり効果的。
数日前の私には考えられない行動だけど。
今日、高遠くんとデートしてるの、すっごく楽しくて、すっごく嬉しい。