その背中、抱きしめて 【上】
次の日、さっそく休憩時間にみんなにレモンと冷凍スポーツドリンクを振る舞った。
スポーツドリンクは製氷皿に入れて凍らせた一口サイズ。
ハートや星、クローバーやスペードの形の製氷皿を使って可愛くしてみた。
それに食いついたのは他でもなく麻衣ちゃん。
「可愛いーーーー!ゆず先輩、やっぱり憧れの女性です!」
そこに前田くんがちゃちゃを入れる。
「佐古田、お前もゆず先輩見習ってこういう差し入れとかしてみろよ。…いや、できないだろうなお前じゃ。お前じゃ無理だ、お前じゃ」
「ちょっと何回もお前じゃ無理とか言わないでくれる!?私だってやろうと思えばできるんだから!ゆず先輩に教えてもらってやってやるんだから!」
「なんだよ、結局ゆず先輩がいなきゃできないんじゃんか!やっぱお前じゃ無理!」
「お前じゃ無理って言うなーーーー!!!」
こういうノリが楽しいんだよね、うちの男バレは。
1年生が入って余計にノリが良くなった。
「ゆず、この氷まだあんの?これいいわ、冷たくて」
羽柴くんが魔法瓶を逆さにして振ってる。
調理室から魔法瓶に入れて持ってきた冷凍スポーツドリンク。
大好評のようで、売り切れたらしい。
「まだあるよ。お昼休みにまた持ってくるね」
製氷皿いっぱい買っておいてよかった。
今朝も作っておいたけど、それは夕方には何とか食べれるかな。