その背中、抱きしめて 【上】
「んんっ…」
口の中が一気に冷える。
その感覚と一緒に甘酸っぱい味。
一瞬何が起きたかわからなかったけど、スポーツドリンクの氷だとわかった。
高遠くんが口移しで入れたんだ。
冷たい唇が離れたあと、見上げた高遠くんの顔はちょっと”したり顔”で
「俺の気持ちです」
と言った。
「俺の気持ち…?…あ!」
ハートの氷!!!
ちょっと、どうしてそういう恥ずかしいことを…!!
「これ、持ってっときますね」
レモンのタッパーと魔法瓶を持って、高遠くんが調理室を出て行った。
恥ずかしさで火照った顔が、口の中のハートの氷で早く冷えますように。