その背中、抱きしめて 【上】
学校に戻ると、もう試合は終わって相手校は帰ってしまっていた。
「翔!!」
前田くんが駆け寄ってくる。
「ギプス!?おい、大丈夫かよ!」
「大丈夫だよ。騒ぐな」
監督に報告する。
渋い顔をする監督。
そりゃそうだよね、これからのプランが崩れちゃうもんね。
でももうこうなってしまった以上どうしようもない。
今いるメンバーで乗り切るしかないよね。
「春高予選前の大事な時期にすみません」
高遠くんがみんなに深々と頭を下げた。
「高遠が悪いんじゃないよ」
「予選は俺らが何とかするから気にすんな」
何となく、チームの団結力みたいなものが生まれたような気がした。