その背中、抱きしめて 【上】



「はー…今日はほんと参ったぁ…」

お風呂上がり、ベッドに倒れこむ。


高遠くんに電話してみよう。

明日から、せめてギプスが取れるまで送り迎えさせてほしい。

きっと盛大に拒否されるんだろうけど。

それでもお願いしてみよう。




プルルルルル…



『はい。先輩?』

「高遠くん?ごめんね、怪我で大変なのに。今大丈夫?」

『大丈夫ですよ。どうしたんですか?あ、それより今日は本当にありがとうございました。それからお父さんにもよろしく伝えて下さい。ほんと助かりました』


相変わらず礼儀正しいなぁ。

気にしなくていいのに。


「気にしないで。お父さんも高遠くんの印象良かったみたいだし。あ、それでね。お願いがあるんだけど…」

『何ですか?先輩がお願いとか珍しいですね』


言うの緊張する。

絶対断られるし、どうしよう。


「あのっ…。明日からしばらく、高遠くんを家まで送り迎えさせてほしいの!」


…。

あれ?沈黙。。。



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