その背中、抱きしめて 【上】
(うぅぅ…眠い…眠すぎる…)
朝6時過ぎの電車。
太陽はもうとっくに空に出ていて、寝ぼけ眼(まなこ)には眩しすぎる光を届けてくれる。
早朝の電車に乗ってわかったこと。
会社勤めの人の朝は早い。
スーツの人、作業着の人、私服の人、毎日こんな時間に出勤してるなんて大人って大変なんだなぁ。
それから、部活のジャージを着た高校生も乗ってる。
何部かな?
遠征なんだろうな。
いつもと違う朝の光景。
電車を降りて改札を通る。
カバンから紙を1枚取り出す。
昨日の夜お父さんに書いてもらった、駅から高遠くんの家までの地図。
さて、迷わないように行かなくちゃ。