その背中、抱きしめて 【上】
いつも学校と部活でしか会わないから、朝の電車一緒なんて嬉しい。
しかもこうやって高遠くんの地元を一緒に歩けるなんて…夢のよう。
なんか…一緒の時間に出勤していく新婚さんみたいじゃない?
…って、何考えてんの私!!
「先輩、何ヨコシマな妄想してんの?やらしー」
高遠くんがこっち向いてニヤニヤしてる。
「ち、ちがっ!してないよそんな妄想!」
慌てて否定する。
してなくないけど!
してましたけど!!
いつか。
いつか、もっと大人になったら
同じ家から一緒に出たいな
って思うよ。
青空に映える綺麗な顔を見ながら、そんなことを思って胸がキュウっとなった。