その背中、抱きしめて 【上】
高遠くんの家を早めに出たけど、やっぱり学校に着いたのはちょうどいい時間だった。
早く出てよかった。
「翔ー!オッスー!…って、えぇ!?お前ゆず先輩にバッグ持たせちゃってんの!?」
前田くんが駆け寄ってきた。
「先輩おはよーございます」
「おはよー」
「お前、先輩に荷物持たせるとか…ゆず先輩、俺持ちます」
前田くんが私の肩から高遠くんのバッグを持ち上げた。
前田くんは高遠くんより背が高いから、いとも簡単にバッグが私の上半身をすり抜けて高いところに行ってしまった。
高遠くんだって一般的には背が高い方だけど、バレー選手はもっと背が高い人いっぱいいるからね。
ごく普通の身長の私と並ぶと大人と子供のよう。
「いいなぁ翔は。ゆず先輩が専属マネージャーみたいにこうやってバッグまで持ってくれてさ」
前田くんが口を尖らせる。
「前田くんがもし怪我したら、私は同じようにするよ。みんなにも同じようにする。…でもお願いだから怪我しないでね。怪我でプレーできないのは、私の方が見てて辛いから」
心からそう思う。