その背中、抱きしめて 【上】



今日も練習試合が始まった。

でも、体育館の端っこで高遠くんの筋トレのお手伝い。


今は腹筋中の高遠くんの膝を押さえてる。




「先輩、さっきの…他のやつが怪我しても俺と同じように世話焼くって本当?」

ちょっと恥ずかしそうなふてくされ顔。


なにこれ、ヤキモチ!?

可愛い!

普段かっこいい高遠くんがめちゃくちゃ可愛い!!


可愛すぎてぎゅうって抱きしめたい衝動を抑えるのが大変。



「世話は焼くよ。私マネージャーだからね。困ってればバッグだって持つよ。だけど…」


一呼吸おく。


「家まで迎えに行くのは高遠くんだけだよ。怪我した姿見てこんなに胸が締め付けられるのも、高遠くんだけだよ」


しっかり目を見て言う。

私の気持ち、届いてほしいから。




「鎖でつないで部屋に閉じ込めときたい」




「え?」

「なんでもない。ありがとうございます」


今、鎖って言った?

聞き間違え?

まさかね、そんな物騒な。



< 224 / 503 >

この作品をシェア

pagetop