その背中、抱きしめて 【上】
今日も練習試合が始まった。
でも、体育館の端っこで高遠くんの筋トレのお手伝い。
今は腹筋中の高遠くんの膝を押さえてる。
「先輩、さっきの…他のやつが怪我しても俺と同じように世話焼くって本当?」
ちょっと恥ずかしそうなふてくされ顔。
なにこれ、ヤキモチ!?
可愛い!
普段かっこいい高遠くんがめちゃくちゃ可愛い!!
可愛すぎてぎゅうって抱きしめたい衝動を抑えるのが大変。
「世話は焼くよ。私マネージャーだからね。困ってればバッグだって持つよ。だけど…」
一呼吸おく。
「家まで迎えに行くのは高遠くんだけだよ。怪我した姿見てこんなに胸が締め付けられるのも、高遠くんだけだよ」
しっかり目を見て言う。
私の気持ち、届いてほしいから。
「鎖でつないで部屋に閉じ込めときたい」
「え?」
「なんでもない。ありがとうございます」
今、鎖って言った?
聞き間違え?
まさかね、そんな物騒な。