その背中、抱きしめて 【上】
とりあえず急いで高遠くんの家の門の小さな屋根下で雨宿り。
「ひゃーっ。いきなり降ってきたね!高遠くん、早く家入った方がいいよビチョビチョだから風邪ひいちゃうよ」
バッグを肩から外して高遠くんに渡す。
「…先輩、雨やむまでウチで雨宿りしていってください」
「え!?」
雨宿り?
それって高遠くんの家に上がるっていう…。
「そ、そんなっ。めっそうもございません!!」
パニックで敬語が飛び出す。
その時。
カメラのフラッシュのように強烈に光った瞬間に、バリバリバリっと何かを裂くような凄まじい音かして…
ドオオオオオオオォォォォンッ!!!
(ヒャアアァァァアアアッッッ!!!)
声にならない声を上げて咄嗟に、そして無意識に隣の高遠くんに飛びついた。
高遠くんが片手で抱きしめてくれる。
それだけですごく安心した。
まだ空の上でゴロゴロと低い唸り声が聞こえる。