その背中、抱きしめて 【上】
中2の時から…。
「夏の全国ですごい女子がいるって、翔のわりには興奮してて。で、柚香先輩は優秀選手に選ばれてたから名前も知って、その後からはもうほぼストーカーですよ」
清水くんがニッコリ微笑む。
「ストーカーじゃないし」
高遠くんがふてくされたようにそっぽを向く。
「いや、立派なストーカーだよ。柚香先輩がいる高校調べて、芦澤の特待蹴ってまで藤宮に入学しちゃうんだから」
芦澤学園の特待を蹴って…。
「しかも入学したら、柚香先輩は男バレでマネージャーしてるっていうじゃないですか。これで諦めるかと思ったら、まだ諦めない。真性のストーカーですよ」
「だからストーカーじゃないし!」
高遠くんがどんどんイライラしてきても、清水くんはニコニコしながら話を続ける。
「中2から高校入学するまでは、ただ柚香先輩の背中に憧れてたんだと思います。だけど、柚香先輩と接するようになって、柚香先輩自身に恋をした。こいつ、男のくせに愛し方が重いでしょ?それだけ想いが強いのは俺も知ってるんですけど」
清水くんが、愛しそうな切なそうな表情をした。
そして。
「でも重いでしょ?」
柔らかく、苦笑いをした。