その背中、抱きしめて 【上】
「っざけんな!いい加減にしろお前っ!」
いつにない高遠くんの大きな声と同時に体に強い力を感じて、私の背中は高遠くんの胸に収められた。
背中に高遠くんの体温を感じる。
ソファーに座る高遠くんの膝の間、痛いくらい強く抱きしめられていることが嬉しかったりもする。
高遠くんの顔を見上げると、今までにないくらい…『殺気』と言ってもいいくらい、清水くんに飛びかかりそうな目をしていた。
「そんな目をするなよ、翔。わかったから」
清水くんが両手を頭の横に上げて降伏のポーズをする。
「こりゃ、うかうか柚香先輩に近づけないな」
すっと近づいてきた清水くんが私の耳元で囁く。
「近づかなくていい!!」
また高遠くんが吠えた。