その背中、抱きしめて 【上】
「ゆずはそこらの男子と同じくらいのプレーはできるから、リハビリにはちょうどいいんじゃないかと思うよ」
さくらちゃんが高遠くんに提案する。
「最初からそのつもりです。パスから始めて最後、スパイクがちゃんと打てるようになるまでフォーム確認してもらいながら練習に付き合ってもらおうと思ってます」
「え?そうなの?」
思わず聞き返す。
そんなこと言われたことなかったよ。
「言わなくてもわかるでしょ」
私の心を見透かしたように、高遠くんが少しだけ口角を上げた。
「だってさ、ゆず。ちゃんと高遠くんのフォローしてあげるんだよ」
「う、うん」
私なんかで練習相手務まるのかな。
自信ないけどやるしかないよね、うん。