その背中、抱きしめて 【上】
朝のニヤニヤはどこへやら、自己嫌悪で一気に気分は底辺になった。
(こんな状態で高遠くんに会えないよー)
部活がない日に高遠くんと一緒に帰る初めての日なのに…。
昨日からすっごく楽しみにしてたのに…。
「ゆず、どうしたの?楽しい放課後だよ?高遠くん昇降口で待ってるんでしょ?」
「うー…」
さくらちゃんにカバンを持たされて教室の外まで背中を押される。
「楽しんでおいで」
さくらちゃん…楽しめないです…。
(あぁ、涙が…)
教室に戻ることもできず、昇降口に向かってトボトボ歩き出す。
高遠くんに合わせる顔がないよ…。
どんなにゆっくり歩いてもゴールに到着してしまう。
そこには、今の私には眩しすぎて目を背けずにはいられない、神々しいばかりの美男子が。。。