その背中、抱きしめて 【上】
昨日の高遠くんとのやり取りを話した。
そして私の思いも。
「私は高遠くんのことが心配で、怪我前と同じようにプレーしてほしいから…ちゃんと治してほしいんだけど、もしかしたらそれは私の自己満足で、親切の押し売りなのかもしれない」
だからきっと高遠くんは怒ったんだ。
私の無意識の自己満足を見透かされたんだ。
「あいつはバレーに対してプライドも高いし、人一倍責任感も強い。だから早くコートに戻りたい一心なんだと思う。けど、ゆずの″彼女″としての心配と″マネージャー″としての責任感で時間をかけて治して欲しいっていう気持ちもよくわかる」
″どっちも悪くないんだよな″
そう言って羽柴くんは悲しそうに笑った。